精神科看護師の最も大切な役割は、「患者さんの自立を援助する」ことです。その目的を達成するため、多岐にわたる専門的な関わりが求められます。ここでは、精神科看護師に求められる8つの特徴をご紹介します。
1つめは「日常生活・セルフケア援助」です。精神科の患者さんは幻聴をはじめとする精神症状で入浴、食事、睡眠など通常の日常動作を行うことが困難なため、看護師によるセルフケア援助が必要です。
2つめは「全身状態の観察とアセスメント」。例えば、患者さんが、調子が悪いと訴えた場合、それが何によるものなのかアセスメントします。幻聴によるのか、不眠によるのか、幻聴が原因で食事等がとれていないのかなどを、食事量、血液データ、尿の回数等から判断し主治医に報告します。
3つめは「コミュニケーションによる心理ケア」。4つめは「与薬管理」です。精神科の主な治療は薬物療法と精神療法であり、その両面で看護師は重要な役割を担います。薬を確実に内服してもらうための与薬管理はもちろん、薬の効果や副作用を注意深く把握することも求められます。
5つめは「疾病教育」です。精神科の患者さんは病識(自分は病気だと認識している)がないケースが多いため、看護師による疾病教育で病識を持ってもらうようにサポートします。
6つめは「家族ケア」。長期入院になるケースが多い精神科では、家族のケアも重要です。精神科では入院が長期にわたることも多いため、ご家族が抱える不安や負担を軽減する家族ケアも大切な役割です。
7つめは「行動制限の最小化」。精神症状がひどく、自傷や他害のリスクがある、スタッフの安全が確保できない等の場合は隔離や身体拘束をすることがあります。
8つめは「継続的な治療の動機づけ」です。退院後も外来通院や訪問看護を使いながら、継続した治療が受けられるよう、患者本人や家族と関わります。
時には、精神症状が著しく、ご自身や他の人を傷つけてしまうリスクが高まることもあります。そうした緊急時には、関わるスタッフと患者さん双方の安全を確保するため、隔離や身体拘束といった行動制限を、必要最小限の方策として用いる判断に関わることも、精神科看護師の重要な責務の一つです。