精神科で働く看護師の1日のルーティンとやりがい

精神科病棟での1日は、夜勤スタッフからの申し送りを受け、患者さん一人ひとりの夜間の様子を把握することから始まります。

午前中は、服薬の介助や湿布・軟膏の処置、入浴などの清潔ケアが中心です。患者さんの状態に合わせて、丁寧なケアを提供します。お昼休憩は、スタッフが前半・後半のグループに分かれて交代で取ります。
午後になると、午前中のケアに加えて、業務はさらに多岐にわたります。看護記録の作成やカンファレンス、入院患者さんの受け入れ、各種委員会への参加といった業務に加え、患者さんとじっくり関わる時間も大切にします。レクリエーションを企画したり、一緒にお散歩に出かけたりすることもあります。
特に精神科では、患者さんの観察とコミュニケーションが治療の根幹をなします。日々の交流を通して信頼関係を築くことで、医師には話せないような本音を打ち明けてくれることも少なくありません。その小さなサインが、治療方針を考える上で非常に重要な情報となるのです。
そして夕方には、1日の記録をまとめ、夜勤スタッフへ申し送りを行い、業務終了となります。

精神科看護には、一般科とは異なる特色と、そこにしかない大きなやりがいがあります。看護師同士が密に連携して進める業務が多いため、自然とスタッフ間のチームワークが強固になり、良好な関係を築きやすい傾向があるのも特徴です。
もちろん、簡単なことばかりではありません。患者さんによっては、一般的なコミュニケーションが難しかったり、時には暴言や暴力という形で症状が現れたりすることもあります。しかし、そうした困難な状況にある患者さんが、治療を通して少しずつ回復していく姿に立ち会えた時の喜びは、何物にも代えがたい大きなやりがいとなります。
また、精神疾患だけでなく内科系の疾患を合併している方も多いため、幅広い医療知識とアセスメント能力が求められます。ご自身のつらさをうまく言葉で表現できない患者さんもいるため、看護師が表情や行動から変化を読み取る観察力と判断力が、適切なケアを提供する上で極めて重要になります。

このように、患者さんの心と体の両方に寄り添い、その方の社会復帰を支えるという点で、精神科看護師は非常に大きな役割を担っているのです。